「出会い」を超える素晴らしさ
「久しぶりにアルバムを買う時、ドキドキした。」  アルバム発売日を指折り数え、当日、CDショップで待ち侘びたアルバムと御対面。震える手でレジまで持って行く。パッケージされるまでの間、スタッフと軽い音楽話。何気ない会話の一つ一つも、気分が高揚して清々しい。そして、店を出て家へ帰るまでの道すがらに、とめどもなく押し寄せる期待感! 言いようのない嬉しさと同時に、「誰かに取られないかな」なんていう杞憂も入り交じりながら、やがて何事にも侵されない自分の部屋へ。ラッピングを外し、穴が開くほどジャケットを覗き、ライナーノーツに目を走らせ、CDをターンテーブルに置き、ヘッドフォンをかぶり、ようやく我に帰って、落ち着きを取り戻そうと煙草に火を付け、流れてきた音楽に耳をすます。−無限の世界。  忘れていた感覚を呼び覚まさせてくれた本作。スティーヴィー・ニックスリンジー・バッキンガムが16年ぶりにバンドへ集結し、全盛期を超える熱さと優しさが詰まった、懐かしいサウンドメッセージを届けてくれた。  今まで、「出会い」こそが世の中で一番、素晴らしことだと感じていた。でも、本作を通して分かった、「出会い」よりももっと素晴らしいこと。それは「再会」だった。(W)

 ◇ SAY YOU WILL FLEETWOOD MAC WARNER MUSIC JAPAN



七色

七色

本誌で長期コラムを連載していた、ほんわかシンガーソングライター・イノトモのニューアルバム。つぶやきに似た愛らしい歌声が、あったかくて優しいギターに乗って心の奥にじわじわ広がる。寝る前、目覚め、バスタイムに流すのもいいかも。(A)

 ◇ 七色 イノトモ インディペンデントレーベル



0304 (Mcup)

0304 (Mcup)

ジュエルのサウンドはズバリ“祈り”。一点の曇りもない聖なる世界の築きこそが、彼女の存在そのものだ。少しだけ大人っぽくなった今作でも、聖母マリア的な姿勢は微塵も変わらない。お疲れの男子諸君!吸い込まれましょう。(W)

 ◇ 0304 Jewel Atlantic



君にありがとう

君にありがとう

6つの声が重なって生まれる絶妙のハーモニーで、普段はなかなか言えない「ありがとう」を力強く歌う。ハートウォーミングなサビのメロディに浸っていると、おバカな歌詞全開のカップリング「マッチョマン」が続いて流れてきて、思わず爆笑。(K)

 ◇ 君にありがとう チン☆パラ ポリスター



From the Attic

From the Attic

ニヤリとしてしまいそうなハジけたパワーポップ&パンキッシュナンバーを放つボストン出身の4人組。勢いあるギターカッティングに合わせて、知らず体でリズムを刻んでしまう。舌っ足らずな女の子Vo.のハイトーンヴォイスも意外にマッチ。(A)

 ◇ FROM THE ATTIC DAMONE RCA



オーバーザレインボウ

オーバーザレインボウ

感情をむき出しにしたがなり声とメロディアスだけど荒々しいサウンドが、初期のミッシェル・ガン・エレファントを彷彿させる。でも2、3曲目は打って変わって繊細さを見せるやるせないミディアムナンバー。表情豊かなロックに引き込まれていく。(A)

 ◇ オーバーザレインボウ Gash  インディペンデントレーベル



素敵な、あの人。

素敵な、あの人。

晴れた休日の午後、あぜ道を自転車で駆け抜けていく幼い日々の風景が頭に浮かぶ。あどけなさを残した飾らないヴォーカルが耳に心地いい、ちょっぴり懐かしさを含む爽快ポップス。明るさの中に切なさが見え隠れするカップリングも名曲です。(A)

 ◇ 素敵な、あの人。 ゲントウキ田中潤佐橋佳幸  DREAMUSIC



8 trees mountain

8 trees mountain

雪景色や野原など自然の風景が思い描けそうな透き通った歌声が七変化。儚かったり可愛らしかったり大人っぽかったりと、1曲ごとにリスナーに違った印象を与えるのだ。「声」という天然楽器が全面にフィーチャーされた清涼ミュージック。(A)

 ◇ 8 trees mountain Local Bus、野見山睦未、鈴木祥子 BMGファンハウス



The Essential Bob Dylan

The Essential Bob Dylan

ディランがいなければ、ニール・ヤングスプリングスティーン吉田拓郎長渕剛も世に出てこなかった。そんなフォーク&ロックのルーツであり、ビッグバンでもあるディランの軌跡を辿った2枚組のベスト盤。血よりも濃いです。(W)

 ◇ The Essential BOB DYLAN BOB DYLAN Sony Music 2003-06