「お約束」考現学

「お約束」考現学

自分も知らない自分の行動、こんなところにお約束
 外国の文化風習が面白く見えるのは、それが自分達にとって何の意味ももたない行為を大業に行っているからだ。ひるがえって見れば、文化の断絶などは同じ国の中でも見られることで、「お加減いかがですか」「ええ、お蔭様で…」というやりとりを見て、子どもが「何もしてないのに『おかげさまで』なんて言うのはおかしいよ」と指摘するような例はざらにある。テレビ業界で「うまい」を「マイウー」のようにものを逆に言うのもそれだ。それぞれの集団にそれぞれのルールがある。そして、たまにルールだけが残りその意味が忘れられる。  本書はそういった形骸化した日常の中の約束事をとりあげたエッセイ集だ。  会話に詰まったときの無難な話題や、飛行機内や旅先の外国でいかにも旅慣れた人間を装う方法、クラス会で名前が浮かんでこない人間と会話を続けつつ名前をさぐる方法やエレベータ内での行動など、旅や日常生活で出会う様々なお約束に出会った筆者が感慨深げに語る四方山話に共感して「自分もすっかりお約束に染まっている」と笑うもよし、自分の知らないお約束を見つけて時代を感じてみるもよし。各年代の楽しみ方ができる一冊だ。(M)

 ◇ 「お約束」考現学 泉麻人 実業之日本社



正解ご無用

正解ご無用

読売新聞の日曜版文化欄で2001年4月1日〜2002年12月22日まで連載された「正解ご無用」に加筆訂正を加えたコラム集。様々な人物を一人で演じ分けることで知られる著者の観察眼は文章やイラストにも反映されており、描かれた人間は生彩を放つ。(M)

 ◇ 正解ご無用 イッセー尾形 中央公論新社



おしゃべり12ヵ月

おしゃべり12ヵ月

イラストレーターの著者が、10年にわたって身の回りの品や好きな映画、旅の思い出など、こまごまとした物事をイラストと手書きの文章で綴ったものをまとめた一冊。小冊子を少しずつ読み進めていくような楽しさが魅力。(M)

 ◇ おしゃべり12カ月 杉浦さやか 大和書房



ねじとねじ回し-この千年で最高の発明をめぐる物語

ねじとねじ回し-この千年で最高の発明をめぐる物語

この1000年で最高の発明は何? そんなテーマでコラムを依頼された著者が、ねじ回しの起源を追いかけながら甲冑や火縄銃など様々な工具や作品に言及していく。次々と現れる職人や工具の数々に圧倒される技術開発物語だ。(M)

 ◇ ねじとねじ回し 著/ヴィトルト・リプチンスキ 訳/春日井晶子 早川書房



騙しのカラクリ

騙しのカラクリ

日々世情を反映して進化する騙しのテクニックに騙されないための入門書。「わが子をアイドルに」「新手の訪問詐欺・シックハウス商法」など、日常にひそむ詐欺やひっかけ商法の手口をサンプルで紹介、反省点と予防策を考察する。(M)

 ◇ 騙しのカラクリ 横田濱夫 PHP研究



「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 (シリーズ・子どもたちの未来のために)

「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 (シリーズ・子どもたちの未来のために)

ベトナムから帰還しても、戦争は続いていた…。後遺症に悩まされ続けてきた筆者が語るベトナムの軍隊生活、戦争体験が生々しく語られた一冊。児童でも読めるように平易な文章で書かれているが、内容はずっしりとこたえる。(M)

 ◇ ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか? ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」 アレン・ネルソン 講談社



「口癖ひとつ」でその人がわかる

「口癖ひとつ」でその人がわかる

「でも、だって」「寝ていない」「こういう性格だから」。ささいだがどうしても気になるのが他人の口癖。そのよく口にされる口癖を取り上げて、その人の性質と行動を読みとく。もしかしたら自分の口癖を見つけてしまうかも?(M)

 ◇ 「口癖ひとつ」でその人がわかる 渋谷昌三 新講社



ひとりぐらしも5年め

ひとりぐらしも5年め

「150cmライフ。」のイラストレーターが、自由で気ままでたまに切ない一人暮らし模様を紹介。節約のためにスーパーで半額シールが貼られるのを待ったり病気になって心細くなったりと、一人暮らしをしている人には共感できることが多いかも。(M)

 ◇ ひとりぐらしも5年め たかぎなおこ メディアファクトリー



しあわせスイッチ

しあわせスイッチ

「世界・ふしぎ発見!」のミステリーハンターになって、その後ブラジルでご飯とサンマの店を出す。そんな野望を抱いて上京した女子大生は、気がついたら居酒屋で板前になり、漫才コンビを組んでいた! 東京の日々を描いた私小説風エッセイ。(M)

 ◇ しあわせスイッチ 山田スイッチ ぴあ