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虹

吉本ばななの作品、その苦悩の日々

　彼女の作品と出会ったのは、確か高校一年の夏。初めて読んだのは「TUGUMI」だった。結果的に高校時代最も夢中になった作家になった。「キッチン」「悲しい予感」なんかを次々と読破した。登下校の電車に揺られながら。
　当時（今もか）、彼女の作品は「癒し」とか「安らぎ」と評価されることも少なくなかった。そしてそんな意見を聞くたび、不思議に思ってしょうがなかった。彼女の描いているものは、むしろ残酷なもののように感じていたから。血も殺戮もない、静かな日常に気まぐれに顔を見せる、残酷な現実。悲鳴を上げることも忘れさせる、染み渡ってくるような恐怖。そして必ずある救い。普段の生活で見逃しがちなこれらを感じるからこそ、彼女の本を読んできた。だがここ数年、彼女の作品からは最後の・救い・が消えていくのを感じている。私は本気で悩んだ。いっそ、ファンをやめよーか、と。
　で、今回の「虹」。タヒチの自然に魅せられた男女の物語。自然は優しくはなく凶暴で、勢いのあるもの…でもその自然が、草木が芽を出させ花を咲かせようとする。それと同様に、人間をも力強く豊かにしていく。あれ…？　この残酷さと救いを合わせ持つ課程。私は悟った。彼女は復活したと。そして泣いた。…ファンやめんでよかった！（F）

　◇　虹　吉本ばなな　幻冬舎

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耳のこり

なぜか耳に残った有名人による発言を、人気コラムニストが独自の観点で分析。100人中99人が聞き流したであろう発言に、絶妙のコメントが炸裂する。笑いを誘われながらも「メディアの在り方」なんてお堅いテーマまで見えてくるから不思議。（F）

　◇　耳のこり ナンシー関　朝日新聞社

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生きる力をくださいトンパ。

某メーカー玄米茶のパッケージで見覚えある人も多いはず。中国・雲南省に生きる象形文字「トンパ文字」を、コピーライター・仲畑貴志のメッセージとともに綴る。力強いタッチから伝わるのは、何だろう、生きることのシンプルさ、みたいなもの。（F）

　◇　生きる力をくださいトンパ。　浅葉克己、仲畑貴志　KKベストセラーズ

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明日に向かって歩け!

男らしさに憧れを持ち、誰よりも東京という土地を愛するミュージシャン・エレカシ宮本。そんな彼の初エッセイ集は、日々の葛藤と燃え上がる想いが詰まった作品に仕上がった。悩んで、もがくことが人間を素敵にするんだ、なんて思わせる一冊。（F）

　◇　明日に向かって歩け！　宮本浩次　集英社

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悪魔のパス 天使のゴール (幻冬舎文庫)

 中田英寿のホームページ上で連載された小説が単行本化。「サッカーを描いた小説だと言えるもの」という作者の言葉通り、スポーツものに不可欠な“迫力”は追求していない。描かれるのは、溢れんばかりのサッカーの“魅力”。これに尽きる。（F）

　◇　悪魔のパス 天使のゴール　村上龍　幻冬舎

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ぐるぐる思考よ、さようなら―気持ちがのびのびとする心のストレッチ

悩んでも悩んでも解決しないのは、「悩みのループ」にハマっていたから・　“葛藤型”“過去こだわり型”など合計4タイプに分けられた悩み方の種類＝ループを分析し、その対処法を分かりやすくまとめていく。なごみ系のイラストもいい感じ。（F）

　◇　ぐるぐる思考よ、さようなら　野村総一郎　文春ネスコ

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マヨネーズですよ―プロが教える驚きのマヨネーズレシピ

マヨネーズを使った料理のレシピのみを収録した究極の「マヨネーズ本」。おつまみや本格ディナーはもちろん、なんとデザートまで網羅している。正しい保管方法やコレステロールとの関係など、“マヨラー”ならずとも役立てたい知識も満載。（F）

　◇　マヨネーズですよ　増井錠治　人類文化社

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キン肉マン２世　ＳＰ　伝説超人全滅！ (JUMP j BOOKS)

「キン肉マン２世」の完全オリジナル小説が登場。ストーリーは何と、あっと驚くエンディングのミステリーになっている。作者の小西マサテル氏は、高松一高出身のTV・ラジオ番組構成作家。昔よく本誌に登場した、あの“ねっく”君です。（T）

　◇　キン肉マン２世SP　ゆでたまご　小西マサテル　集英社

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大空翼背番号10の本気―もうひとつのワールドカップ

「キャプテン翼」「シュート！」「俺たちのフィールド」…。名作サッカーマンガの登場人物をシュート率、プレイスタイルや性格に至るまでを徹底研究し、真のドリームチーム（実現不可能という意味でも）を作成していくシュミレーション本。（F）

　◇　大空翼 背番号10の本気 フラット・ライスフィールド　ぶんか社