マドンナ

マドンナ

課長と私の出会い系サイト、もとい小説
 読んだことのない作家の本を開く時。それは「出会い」だと思う。たとえ気軽に読み始めた作品でも、出会った瞬間(人間同士で言うところの初対面ってヤツ)私は少なからず緊張する。好きになるか嫌いになるか、どうでもいいと思うか。どんな印象を持つかは緊張を通り越してからの話。これって人間同士の出会いと全く一緒だ。そして今回も例外なく、緊張してから読み始めた奥田英朗の作品。  主人公はサラリーマン、妻子あり、42歳。偶然にもストーリーは、彼が人事異動により部下としてやってきた若い女性に「出会う」ところから始まる。正確に言えば、彼が彼女に一目惚れするところから。そう、42歳の課長さん、恋をする。ちなみにドロドロの不倫劇が始まる…ことは一切なし。課長さん、家庭を捨ててまで不倫に走るほど勇気がなかったのである。自分を押さえようとしながらも始まる、片思いの毎日。彼女の笑顔を見るだけで有頂天になる。他の男性社員と彼女が話していると、つい耳をそばだててしまう。まるで中学生の初恋。彼女を知りさえしなければ…と課長さんは「出会い」を憎むが、私は全く逆のことを思っていた。鋭い描写と上級のユーモア。久々に惚れた、この作家に。課長さんには悪いけど、これだから「出会い」はやめられない。(F)

 ◇ マドンナ 奥田英朗 講談社



車ではなく、徒歩と電車とバスを使っての旅行を提案するガイドブック、四国編。観光スポットのくわしい紹介はもちろん、そこに至るまでのアクセスがとにかく親切で分かりやすい。エリア間の移動時間と料金がチェックできる四国全土マップ付き。(F)

 ◇ てくてく歩き 四国 ブルーガイド編集部 実業之日本社



悪戯王子と猫の物語

悪戯王子と猫の物語

すべてがFになる」の森博嗣イラストレーター・ささきすばるの異色コラボレーションが実現。ミステリー作家ならではの緻密なストーリーに、鋭い毒を含んだ挿絵が絶妙に絡み合う。美しいけれど妖しい世界が広がる、大人のための短編集。(F)

 ◇ 悪戯王子と猫の物語 森博嗣ささきすばる 講談社



節約フェチ

節約フェチ

ここ数年ブームとなって巷にあふれる「節約」。でも「節約」であれば何でもアリなの? そんな疑問に対する、女性達の本音が満載。とりあえず“賞味期限を気にしない”“トイレは2回に1回流す”が許せない人、結構いるみたいでよかった…。(F)

 ◇ 節約フェチ 清水ちなみ&OL委員会 幻冬舎



日はまた熱血ポンちゃん

日はまた熱血ポンちゃん

女王様による好評のエッセイ、久々のシリーズ8作目。「年甲斐もない」という言葉(もちろん誉め言葉)がこんなにも似合う女性、やっぱりこの人以外に見あたらない。酒と男と小説の毎日は相変わらずファンキー、そしてため息が出るほどクール。(F)

 ◇ 日はまた熱血ポンちゃん 山田詠美 講談社



ちっとたんねるけど 讃岐の方言知っとんな 藤本誠 藤本デザイン研究室

「なんができよん?」「お腹がおきた」…香川県民にはおなじみの話し言葉が斬新なアートに変身。地元を拠点に活躍するデザイナー・藤本氏が描く讃岐弁とグラフィックデザインの世界はくすぐったくて、懐かしい。たまにはこななん、どーな?(F)

 ◇ ちっとたんねるけど 讃岐の方言知っとんな 藤本誠 藤本デザイン研究室



34丁目の奇跡

34丁目の奇跡

マンハッタン34丁目の百貨店で、おもちゃ売り場のサンタクロースとして一人の老人が雇われた…。1947年にアメリカで誕生以来、世界的に愛され続けるクリスマス・ストーリー。読んだことがある人にも、21世紀の今だからオススメしたい。(F)

 ◇ 34丁目の奇跡 ヴァレンタイン・デイヴィス あすなろ書房



ヌルイコイ

ヌルイコイ

ほとんど顔を合わせない夫との生活にも、セックス以外の興味はないらしい恋人との不倫にも、すっかり慣れてしまった「わたし」。そんな彼女がある日、銭湯で一人の青年と出会う…。平凡な日常と優しい言葉に、かえってドキリとする恋愛長編。(F)

 ◇ ヌルイコイ 井上荒野 光文社



やまちゃんの語ってくだけろ!―山寺宏一対談集

やまちゃんの語ってくだけろ!―山寺宏一対談集

声優、かと思ったら俳優、と思ったらバラエティーもこなす男・「やまちゃん」こと山寺宏一による対談集。とにかく器用な彼だが、三谷幸喜ら超豪華ゲストをビビることなく裸にしていくあたり、まさにエンターテイナーと呼ぶにふさわしい。(F)

 ◇ やまちゃんの語ってくだけろ! 山寺宏一 主婦の友社