出張ホスト―僕は一晩45000円で女性に抱かれる

出張ホスト―僕は一晩45000円で女性に抱かれる

そして彼は、今日も女性の元へと。
 みんな、疲れている。「すぐに飽きられるだろう」と思っていた癒しブーム。そんな予想をものともせず、少しずつ形態を変えながら、もう何年も続いている。こんな状況を考えれば、これも『癒し』と呼べるだろうか。  一流企業に勤める1人のサラリーマン。彼にはある秘密があった。株式投資にハマり、ITバブルによって1800万の借金を背負ってしまったのだ。借金を返すため、彼はある仕事を始める。それが、女性に体を提供する出張ホスト。会社勤めのあと、彼は毎晩“客”である女性の元へと向かう。  このホストこそ本書の作者であり、綴られるのはすべて実話。かなり特異な経験が題材だけに、興味本位のみ狙った本になりそうなもんだが、内容は穏やかだ。その理由は、彼の体を求める女性たちがすべてを物語る。彼女たちを見ていると、ただ肉体関係を欲しがるんじゃなく、まるで母親に抱きしめられたいとねだる子供のように見える。さらに、ホストである彼自身、つまり借金のために体を売り続ける一人の男の悲哀や孤独をも同時に映し出しているのだ。寂しいとか苦しいとか、素直にぶちまけられない現代の大人。そんな人々が求める『癒し』は「寄り添いたい」という実に動物的なものだと分かる。そのぶん、より悲しいのかもしれないけれど。(F)

 ◇ 出張ホスト 僕は一晩45000円で女性に抱かれる 一條和樹 幻冬舎



リトル・バイ・リトル

リトル・バイ・リトル

史上最年少、高校生作家による芥川賞候補作。彼女が17歳にして会得し吐きだした物語、それは生きながらにして欠けてしまった「心の断片」と「つながり」を探す、美しい旅の記録だった。誰がなんと言おうと、今後の作品にものすごーく期待。(F)

 ◇ リトル・バイ・リトル 島本理生 講談社



愛のスピリチュアル・バイブル

愛のスピリチュアル・バイブル

追求しようとしてもしきれない、恋愛という一つのテーマ。「バイブル」としての書物は星の数ほどある。しかし『掘り下げる』という点に置いて、この本は比べものにならないくらい秀逸。恋愛って何なんだ?と思ったことがあるすべての人に。(F)

 ◇ 愛のスピリチュアルバイブル 江原啓之 集英社



今、ぼくに必要なもの

今、ぼくに必要なもの

義父の虐待に耐えるため妄想の世界へと逃げ込んでいた少年・ジェイク。母を守るため、彼の中で戦う力が芽生えていく…。サラリと書かれた言葉を読むたび、ズキンと高鳴る心臓。当たり前だけど、人が人を傷つけるのはやはり許されない。絶対。(F)

 ◇ 今、ぼくに必要なもの エリザベス レアード ピエ・ブックス



ちびギャラ

ちびギャラ

イラストレーターである筆者が運営する人気サイトから生まれた絵本。手のひらサイズのキュートな動物たちが、疲れたココロをほんわか包んでくれそう。ページごとに違った動物が描かれているから、1日1ページずつ読んでいくのもオススメ。(F)

 ◇ ちびギャラ ボン・ボヤージュ ゴマブックス



フライ,ダディ,フライ

フライ,ダディ,フライ

年齢は47歳、中間管理職、趣味はゴルフ、家族は妻と高校生の娘が1人。平凡なサラリーマン・鈴木は、何も変わらない淡々とした毎日を送っていた。だが娘の遙が男に殴られ、ひどい怪我を負った日から、彼の中で何かが動き始めたのだった…。(F)

 ◇ FLY,DADDY,FLY 金城一紀 講談社



野菜のソムリエ―おいしい野菜とフルーツの見つけ方 (ビッグコミックブックス)

野菜のソムリエ―おいしい野菜とフルーツの見つけ方 (ビッグコミックブックス)

野菜とフルーツをあらゆる面から見極め、おいしく正しい品を選ぶコツをまとめた使える一冊。図鑑のように鮮明なカラー写真と分かりやすい解説は、眺めているだけで勉強になりそう。ワインだけじゃない、野菜にもソムリエがいる時代なのね。(F)

 ◇ 野菜のソムリエ 日本ベジタブル&フルーツマイスター協会 小学館



情熱チャンジャリータ

情熱チャンジャリータ

暴走族から極道の道へと歩みかけたが、なぜかフリーライターに。あまりにもハチャメチャな著者の人生が赤裸々に綴られる。果てしない衝撃と笑いの先に沸き上がるのは、生きる力か魂か。友人・西原理恵子がイラスト&マンガを担当している。(F)

 ◇ 情熱チャンジャリータ ゲッツ板谷 双葉社



チル☆

チル☆

漫画家として活躍してきた著者が描く、少女「チル」と彼女と共に生きる「くねり」の繊細なストーリー。絵本か小説か、ファンタジーか純文学か、ジャンルなんて余計なものには捕らわれていない。個人的に言えば、せつない未来の風景…って感じ。(F)

 ◇ チル☆ 松井雪子 講談社