壁際の名言

壁際の名言

頭をほぐす毒言集
 古今東西の聖人・著名人の名言集は綺羅星の如くあるけれど、それがいざ何かの訳に立つのか、立たないのか、と突き詰めると名言集は実用書のカテゴリには入りづらくなる。行動の後に出てくる言葉は後だしじゃんけんと同じで何とでも言えるためだ。そういう意味では、成功者のハウツー本と名言集はよく似ている。  つまり、ためにはなるが、役に立つかは分からない。  では格言はどうかというと、誰でも他人の心に残るような良い事が言いたいものだから、結果として世界はこうあるべきだ・こう生きるべきだという言葉で満ち、結局知っていようがいまいが、たいてい人間は理想的な価値観の下で生きている。盗みはいけないこと、と教えられなくても分かっているようなものだ。  では、そこから外れたところには何があるのか。  唐沢俊一が選んだのは、かくあるべしという格言ではなく、そういう規範の下に生きている人たちの名言でもなく、毒言の数々だ。こうあらなければ、という強迫観念を、傍若無人な言葉の数々がほぐしていく。  「ドラえもん」の野比のび太は言う。「もっと、上手くなってから練習した方が…」と。胸を打つ至言だ。(M)

 ◇ 壁際の名言 唐沢俊一 海拓舎



記憶の放物線―感傷派のための翻訳小説案内

記憶の放物線―感傷派のための翻訳小説案内

ミステリマガジンに連載された同名のコラムに加筆修正したエッセイ集。翻訳小説のテーマや会話、あるいはシーンを紹介しながら、それに想起される筆者の思い出が語られていく。小説案内としても、優れたエッセイとしても楽しめる作品。(M)

 ◇ 記憶の放物線 感傷派のための翻訳小説案内 北上次郎 本の雑誌社



無差別級

無差別級

2002年に逝去した消しゴム版画家でコラムニストのナンシー関と、桂三枝小宮悦子中野翠など14名のゲストによる対談集。テレビに登場した有名人やそのスキャンダル、社会現象を歯に衣着せず手当たり次第に斬りまくる様子はまさに無差別級。(M)

 ◇ 無差別級 ナンシー関対論集 ナンシー関 河出書房新社



<とんぼの本>向田邦子 暮しの愉しみ

<とんぼの本>向田邦子 暮しの愉しみ

脚本家、エッセイスト、小説家として活躍する一方で、料理上手な趣味人でもあった向田邦子。本書は彼女が愛したおいしいものや食器選び、旅の思い出づくり等、五章立てでそのライフスタイルを紹介する。楽しく生きるヒントの詰まった一冊。(M)

 ◇ 向田邦子 暮しの愉しみ 向田邦子・向田和子 新潮社



試すな危険!冒険野郎ハンドブック―人喰いザメの生け捕りから時限爆弾の解除まで

試すな危険!冒険野郎ハンドブック―人喰いザメの生け捕りから時限爆弾の解除まで

人喰いザメの生け捕りから時限爆弾の解体まで、その用意・所要時間・予備知識と実行の手順が丁寧に解説されたマニュアル。これさえあれば樽に入ってナイアガラの滝も下る事ができるし、ハリケーンの目を飛行することもできる…かもしれない。(M)

 ◇ 試すな危険! 冒険野郎ハンドブック 著/ハンター・S・フルガム 訳/林雅代 早川書房



タイムマシンをつくろう!

タイムマシンをつくろう!

理論物理学者の作者が、未来への行き方、過去への行き方、タイムマシンの作り方を、アインシュタインからホーキングまでの科学者、ウエルズからマイクル・クライトンまでの小説を紹介して現実的に解説。タイムトラベルに関する疑問にも答える。(M)

 ◇ タイムマシンをつくろう! 著/ポール・デイヴィス 訳/林一 草思社



アンチ・ハウス

アンチ・ハウス

建築家・阿竹克人と施主である作家・森博嗣のメール交換を時系列で紹介したドキュメンタリィタッチのエッセイ。全編に車が置けて、工作室があって、小説が書ける自分のガレージが欲しかったという森博嗣の思いがあふれている。(M)

 ◇ アンチ・ハウス 森博嗣・阿竹克人 中央公論新社



「手紙力!」が身につく本

「手紙力!」が身につく本

世は電子メール全盛だが、手紙を書くべき時や、手紙でなければ伝えられない事もある。詩人や作家等、文章のプロが相手の心に届く手紙、自分の心に残った手紙の魅力とそのエピソードを語る。手紙の心得や字を綺麗に見せるコツも収録。(M)

 ◇ 「手紙力!」が身につく本 『編集会議』編集長 花田紀凱編 中経出版