あれも食べたこれも食べた―雑食の雑学

あれも食べたこれも食べた―雑食の雑学

世界は不思議な食べ物に満ちている
 極端なグルメやイカモノ食いは別にして、大抵は「好き・嫌い・気持ち悪い」の偏食をする人より豊かな食の経験を持つ人の方が魅力的に見える。  それは食物がただの「摂取する物体」なのではなく、文化、風土、歴史など複雑な要因に根ざしているからだ。その土地の食べ物を口にすると言うことは、その土地、ひいてはそこに住む人を受け入れるきっかけにもつながっている。受け入れないから「〇〇食い」という蔑称は存在する。「あんなものを食べる野蛮人・田舎者」というわけだ。  では自分たちはどうなのか? 例えば東南アジア圏では、ヒヨコになりかけのタマゴが食材として扱われている。「気持ち悪い」という人もいる。しかし、では日本の無精卵を食べるのはどうかといえば、アメリカ人は生卵としょう油をご飯にかけて食べるのが気持ち悪くてかなわない。  このように、著者は不思議な食の世界を紹介するとともに、そういった彼我の差をやさしく「優劣ではなく、違いがあるだけだ」と諭してくれる。  もちろん、無理に食べる必要はない。ただ、世界にはいろんな食べ物があるんだと知るだけでも、私たちの世界はきっと広くなるだろう。(M)

 ◇ あれも食べた これも食べた 雑食の雑学 周達生 中央公論新社



文房具を買いに

文房具を買いに

モールスキンの手帳、トンボの色鉛筆、ドイツ製の白墨、東ヨーロッパの黒板消し…。身近な文具から海外の文具まで、筆者と幸運な出会いを果たした文具たちを写真と文章で紹介。見ているだけで楽しく、文具店に足を運びたくなる一冊。(M)

 ◇ 文房具を買いに 片岡義男 東京書籍



聖戦-サイキック15thアニバーサリー

聖戦-サイキック15thアニバーサリー

「どうでもええことを、ええ年した大人が真剣に喋る」関西人の教祖的ラジオ番組「サイキック青年団」の来し方行く末を語るメモリアル本。大滝詠一大友克洋ほか大物リスナー対談、用語集なども収録したファン必携の一冊だ。(M)

 ◇ 聖戦 サイキック15thアニバーサリー 竹内義和北野誠 文藝春秋



平らな時代―おたくな日本のスーパーフラット

平らな時代―おたくな日本のスーパーフラット

各分野で活躍する人物と永江朗とのロングインタビュー。ホンマタカシアトリエ・ワン堀込高樹キリンジ)、会田誠佐倉統、柏木博、角田光代古屋兎丸中野裕之YAB-YUM。30代半ば〜40代半ばの世代に世界はどのように映るのか。(M)

 ◇ 平らな時代 おたくな日本のスーパーフラット 永江朗 原書房



江戸・TOKYO陰陽百景

江戸・TOKYO陰陽百景

東京には不思議な場所がいっぱい。由緒有る場所、怪奇スポットをオカルトマニアで神仏フェチの小説家・加門七海がご案内。両国や都庁、競馬場もここでは陰陽・風水・オカルト風味。巻頭に地図付きなので、東京の裏ガイドブックにも最適。(M)

 ◇ 江戸TOKYO陰陽百景 加門七海 講談社



愛の林檎と燻製の猿と 禁じられた食べものたち

愛の林檎と燻製の猿と 禁じられた食べものたち

人はなぜそれを食べ、あれを食べないのか。文化風習だけでは語れない、複雑怪奇で魅惑的な食の世界をキリスト教7つの大罪にのっとって語る、好奇心もおなか一杯になれる一冊。食文化と偏見・タブーの古今東西には思わぬ発見がありそう。(M)

 ◇ 愛の林檎と燻製の猿と 禁じられた食べものたち スチュワート・アレン/訳・渡辺葉
集英社



まあ、そこへお坐り

まあ、そこへお坐り

なんだか分からないけど世の中がヘンだぞ、と感じている事象を、「時代からずれている【ずれ爺】」と自認するイラストレーターの筆者が温かみのある語り口で綴るエッセイ集。説教というよりは、偏屈爺さんのつれづれ話といった趣がある。(M)

 ◇ まあ、そこへお坐り 山藤章二 岩波書店



インドネシアの紛争地を行く

インドネシアの紛争地を行く

スハルト政権崩壊後、民主化に向け動き始めたはずのインドネシア各地で万を越す命が奪われている。インドネシアで今何が起きているのか? 高松出身でインドネシア在住17年でもある著者が紛争地を歩き、報道されない事実と生の声を伝える。(M)

 ◇ インドネシアの紛争地を行く 小松邦康 めこん



タブロイド時評

タブロイド時評

夕刊フジにて連載中のコラム「通勤快毒」をまとめた単行本第二段。2001年の春〜2003年の春までの時評に時の移ろいの速さを実感しつつ、著者の「珍走団」の定義のズレなどに世代そのもののギャップを感じる楽しさもある。(M)

 ◇ タブロイド時評 泉麻人 講談社