大阪人以外まで引きずり込む、大阪弁の魔空間。
 進学で東京に出た友人と久しぶりに会ったら、標準語が身につくどころかコテコテの関西弁使いになっていてビックリ。という事があった。香川出身者だから大阪に親和性があるとはいえ、西の出身者のアイデンティティを一手に保証してしまうこの大阪弁の魔力の源はなんだろう?  本書は劇団「リリパット・アーミー」の主催者でもあるわかぎゑふが大阪新聞に3年連載し、現在は産経新聞で連載しているコラム『笑い死にいく大阪弁』を辞典風に編集しなおしたもの。香川県人なら標準語での訳を見るまでもなくほとんどの言葉の意味とニュアンスは汲み取れるだろう。  大阪弁の豊富な例とともに説明文で綴られる最近の大阪人の日常を読んで感じるのは、さっぱりした考え方と、言葉からあふれる理屈で割り切れない『照れ』などの情味、何より標準語で書いていても感じる言葉のテンポの良さだ。論理よりも感情をより伝えやすいから、愛嬌のある言葉はより面白みが増し、悪態はよけい怖くなる。客観性重視の標準語より胸に響くから、都会では尚更魅力的に感じるのかもしれない。  ちなみに新聞で数年にわたって連載されていたため、阪神の強さに関する記述が一定しないのを著者はちょっと気にしている模様。(M)

 ◇ 大阪弁の詰め合わせ あかん〜わや わかぎゑふ 講談社



東大講座 すしネタの自然史

東大講座 すしネタの自然史

無造作に口に入れている「鮨」。由来は何で、ネタはどこからやって来たの? 東大の総合研究博物館で開催された「すしネタの自然史」での講義を収録。先人の知恵から魚の生態系まで含めて分かれば、もっと鮨が身近に感じられそう。(M)

 ◇ 東大講座すしネタの自然史 大場秀章・他 NHK出版



萌える聖地アキバ 秋葉原マニアックス

萌える聖地アキバ 秋葉原マニアックス

某国のスパイもやって来る雑多な電子機器の街、そして各国のOTAKUがHENTAIマンガを求めにやって来る混沌の聖地・秋葉原を、地図付き、生息する人種の解説付きで解説したエリアガイド。でもこの本片手に秋葉原は歩けない。恥ずかしすぎる。(M)

 ◇ 萌える聖地アキバ 秋葉原マニアックス 藤山哲人 毎日コミュニケーションズ



決定版 女性のための運転術

決定版 女性のための運転術

高速道路、右折・左折、縦列駐車、斜線変更に冷汗…そんな運転が苦手な人のために、実戦的なコツを苦手項目別に紹介。安全に運転するための気を付けるべきポイントや車のメンテナンス、車選びのアドバイスも掲載された分かりやすい解説書だ。(M)

 ◇ 決定版 女性のための運転術 徳大寺有恒 草思社



新・生活様式学入門

新・生活様式学入門

パンツの乾し方やおでんの卵の食べ方など、日常行われている30の行為のやりかたを分類し、それらをいちいち命名。ひねりすぎたため解説しないと読者がついてこれないネーミングとありえない様式に、クールだがバカっぽいイラストが華を添える。(M)

 ◇ 新・生活様式学入門 現代生活様式学会 ぴあ



焼肉様式学入門

焼肉様式学入門

これさえあれば、今日からあなたも焼肉奉行。生活様式学が「焼肉」一つにテーマを絞り、ディープかつスタイリッシュに焼肉をしゃぶりつくす! 焼肉シール、焼肉視力検査表、焼肉神経衰弱カードなど、使い道のない豪華付録もついている。(M)

 ◇ 焼肉様式学入門 現代生活様式学会 アートン



「世界地図」の切り取り方 (光文社ペーパーバックス)

「世界地図」の切り取り方 (光文社ペーパーバックス)

学校で習った「日本が中心に描かれた世界地図」しか頭に入っていなければ、海外との交渉では苦労することになる。別の視点、別の目的で作られた地図を知ることで、他国の人達の考えと自分の立ち位置を知ろう。著者は国際問題アナリスト。(M)

 ◇ 戦略思考ナビゲーション「世界地図」の切り取り方 藤井厳喜 光文社



別役実のコント教室―不条理な笑いへのレッスン

別役実のコント教室―不条理な笑いへのレッスン

2001年に行われた「劇作セミナー」の授業を単行本化。劇作家の別役実が演劇の「笑い」を解説しながら、参加者の課題を取り上げて具体的に不条理なコントの書きかたを指導する。コントの何が、どうして面白いのか分かりそうな気になる一冊。(M)

 ◇ 別役実のコント教室 別役実 白水社



はした金の屈辱―その時、ゼニが動いた

はした金の屈辱―その時、ゼニが動いた

30円に泣いた矢沢永吉、死体運びのバイトで食いつないだボブ・サップなど、有名人37人のどん底とその脱出を紹介する逆境アイドル本。有名人らの逆境もさることながら、あとがきで紹介されたテリー伊藤の下で働いていた頃の著者の逆境が怖い。(M)

 ◇ はした金の屈辱 柳田光司 ワニマガジン社