華麗なる騙しのテクニック 世界No.1の詐欺師が教える

華麗なる騙しのテクニック 世界No.1の詐欺師が教える

伝説の詐欺師、詐欺の手口を語る
 ある詐欺師が4年間を刑務所で過ごした後、偽造防止コンサルタントになった。そして詐欺などの犯罪に対する注意を人々にうながすため本書を書いた。スピルバーグ監督の『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』でレオナルド・ディカプリオが演じた天才詐欺師こそ、この本の著者だ。  彼の披露する詐欺の手口はきわめてスマート。ターゲットから話を引き出し、あるいは名刺代わりに渡された当座預金の預金伝票ひとつで小切手を偽造してのける。いかに偽造防止の技術がハイテク化しようとも、それを扱うのが人間である以上はなくならない『油断』に詐欺師はつけこむのだ。  前半の章は小切手偽造の問題が多く扱われるが、後半のATMやクレジットカード、インターネット上での取引などは、いつ自分が巻き込まれてもおかしくない犯罪だ。  本文で紹介された詐欺に限らず、日本でもたくさんの『なりすまし』の犯罪が行われている。それを防ぐため、さらに私たちは本人認証のための目の虹彩や指紋などのデータを要求されることになるという。自分が自分であると証明するためにはさらに自分の情報をさらけださなくてはならないという矛盾の中で、個人でできることは彼らの手口を知り、自分の情報をおろそかにしない、ということに集約される。(M)

 ◇ 世界NO.1詐欺師が教える 華麗なる騙しのテクニック/フランク・W・アバグネイル 著/高橋則明 訳/アスペクト



実録 男性誌探訪

実録 男性誌探訪

週刊ポストからメンズノンノまで、男性誌の記事の種類から論調までを分析、鋭くツッコミを入れる。「毛が見たい」「モテたい」「話題が欲しい」などなど様々な読み手の要望に応えようとする雑誌の構成に、気付けば涙腺がゆるむ一冊。(M)

 ◇ 男性誌探訪 斎藤美奈子 朝日新聞社



書店風雲録

書店風雲録

本が世相を反映するように本棚も時代や店の個性を映す。70年代に池袋の西武百貨店に誕生したリブロブックセンター、通称「リブロ」に勤め、現在はジュンク堂池袋本店の副店長の著者がリブロ運営に関わった時々の出来事を回想する。(M)

 ◇ 書店風雲録 田口久美子 本の雑誌社



「気合を入れろ」と言われたら、何故男は髪からいじるのか。あのアイドルは怒ってもいないのにどうしてぷくーっとふくれるのか。一見無意味に思えるちまたの様々なしぐさを、ものすごくまじめな専門用語を使ってかるーく解読。(M)

 ◇ しぐさの解読 彼女はなぜフグになるのか西村ヤスロウ 村山涼一



世界でいちばん優しい椅子

世界でいちばん優しい椅子

人間工学に基づいた椅子が万人に合うとは限らない。では、どんな椅子を作るべきなのか? 椅子張り職人であり家具モデラーでもある著者の話と挿入されている椅子の写真はどれも魅力的で、読み終わる頃には自分の一脚を探したくなる。(M)

 ◇ 世界でいちばん優しい椅子 宮本茂紀 光文社



江戸東京《奇想》徘徊記

江戸東京《奇想》徘徊記

サライ」で連載された東京≪奇想≫徘徊録を全面的に改稿・加筆。寺社や路地のような昔が残る場所を『徘徊』しながら、江戸から東京までの時代をユニークな解釈で講釈する。最新の東京の一枚下に隠れた東京を楽しみたい人にお勧め。(M)

 ◇ 江戸東京≪奇想≫徘徊記 種村季弘 朝日新聞社



ありがとう浜村淳です」などのラジオの軽快な喋りと同じように、読みやすく親しみやすい「語り下ろし」で浜村淳が生い立ちから始まる自分の喋り人生について振り返る。独特な語り口は活字にも表れており、本人の声が聞こえてくるよう。(M)

 ◇ さてみなさん聞いてください 浜村淳ラジオ話芸「ありがとう」そして「バチョン」
浜村淳



ラジオの仏 山本の夢辞書1975-2004

ラジオの仏 山本の夢辞書1975-2004

漫画家の山本直樹が自分の見た夢や現実に起こったことをあいうえお順に並べ挿絵をつけた、いわく「元手も原価もタダ」の夢日記。黒くて太い線の絵と淡々とした記述が悪夢じみていて怖いが、本人は夢分析すんなと読者に釘をさしている。(M)

 ◇ ラジオの仏 山本の夢辞書1975−2004 山本直樹 平凡社



植草甚一コラージュ日記〈2〉ニューヨーク1974

植草甚一コラージュ日記〈2〉ニューヨーク1974

評論・翻訳・執筆などで活躍し1979年に死去した著者がニューヨークで記したペン文字とコラージュの日記。本を探し歩き、人目を引く洒落た格好で町を回る日々の目まぐるしさは66歳とは思えないほど力に溢れている。著作一覧と年譜付き。(M)

 ◇ 植草甚一コラージュ日記(2)ニューヨーク1974<全二巻>植草甚一 平凡社