■

カワラバーン (アクションコミックス)

河川敷の父子ワイドショー。

河川敷の階段に座ったお父さんに、息子の少年マハル君がたずねる。「お父さん、リストラってなあに？」
　するとお父さんは表情1つ変えずにリストラされた累計人数500万人を東京ドームの動員数や朝礼の回数に置き換え、力強く言い切った。
「父ちゃんはその500万人の中のひとりだ、すごいだろー」
「うん！」
　…で、リストラってなあに？
　一話完結のストーリーは、このようにほとんどが質問するマハル君をお父さんが合ってはいないけど間違ってもいない答えでケムに巻く構成になっている。マハル少年の質問は、アイコラ、ベッカム、ノウゼイ、コンピューターウイルスなど、社会派ではあるがどれもお昼のワイドショー寄り。たまにヤミキンさんに追われているらしいお父さんがその豊富（？）かつヒネた社会知識を活かして金儲けを企んだりもするが、基本的に話は河川敷に始まり河川敷に終わる。
　淡々とした会話の連続。そしてほとんど顔のアップという動きのない絵柄は、逆にこの河川敷ワールドの魅力になっている。ゲームネタやボケが満載でありながらも妙に核心を突いた注釈も笑える、おすすめ『社会派漫画』だ。（M）

　◇　カワラバーン　石原まこちん　双葉社

---

ライン (角川コミックス・エース)

女子高生のチーコが拾った携帯電話に次々と入る着信は、彼女に地名だけを告げて一方的に切れる。それが自殺者の居場所を表していると知った彼女は、自殺を止めさせるため、偶然居合わせた同級生のバンドーとともに街中を走りはじめた。（M）

　◇　ライン　小手川ゆあ　角川書店

---

ぼくは、おんなのこ (Beam comix)

２ヶ月の眠りから目覚めると、男の子だったはずの自分に胸があって、お義姉さんのあごに無精ひげが？　全ての男女の性別がある日を境に逆転してしまった世界での日常を描いた表題作『ぼくは、おんなのこ』を含めた8作の短編集。（M）

　◇　ぼくは、おんなのこ　志村貴子　エンターブレイン

---

まいど御愁SHOW様!! 1 (ヤングマガジンコミックス)

高校を卒業後、家業の葬儀屋を手伝っている青年・木戸。彼はある日の仕事でその家の娘に「人の不幸が楽しいのか」と罵られてしまう。葬儀屋は他人に拒絶される仕事だと悲観した彼はこれを自分の最後の葬儀にしようと決めるが…。（M）

　◇　まいど御愁SHOW様!!(1)　水野トビオ　講談社

---

冷たい密室と博士たち (バーズコミックス)

「すべてがFになる」に続いて、森博嗣原作の小説を浅田寅ヲがコミック化。「極地環境研究センター」に友人の喜多助教授を訪ねた犀川助教授と2回生の萌絵は、院生2人が殺害される事件に立ち会ってしまう。現場は研究所の密室。犯人は誰？（M）

　◇　冷たい密室と博士たち　森博嗣×浅田寅ヲ　幻冬舎

---

花繩 1 (ビッグコミックス)

横綱への道を不条理に断たれ、死にとらわれた元大関・花太郎。しかし廃人同然だった彼は火付盗賊改の長谷川平蔵と出会い、やがて彼を支える男として活躍することになる。寡黙で誠実な花太郎の言動と平蔵の人情味が燃える時代劇漫画。（M）

　◇　花縄�A　小池一夫／作　森秀樹／画　小学館

---

吉田戦車のゲーム漫画大全 (兄) (ビームコミックス)

吉田戦車による、ゲームのパロディ四コマ漫画集。マリオなどの有名どころに限らずメガドライブや3DOなど、時代を感じるハードやソフトが次々に登場する。同名の「弟」版も同時発売されており、兄から読むか、弟から読むかが悩みどころ。（M）

　◇　吉田戦車のゲーム漫画大全　兄　吉田戦車　エンターブレイン

---

アニメ店長 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

なりゆきでアニメグッズ専門店「アニメイト」の店長になってしまった男、兄沢が、店員、客、社員に翻弄されながらどんどんダメになっていく血圧の高いギャグ漫画。様々なグッズや在庫などの商店の事情が少しわかってお得…かもしれない。（M）

　◇　アニメ店長�A　島本和彦　一賽舎

---

男前商店街

隣の空き地に白骨死体。隣の部屋には腐乱死体。犬を散歩させては死体に遭い、同窓会に出ては死体につまづき……。男前だがてんで気の弱い肉屋の息子と、勝気で喧嘩っ早い幼なじみが行く先々で変死体に出くわす短編推理漫画5編を収録。（M）

　◇　男前商店街　黒川あづさ　秋田書店