安彦とは違うのだよ、安彦とは(そっくりだけど)!
ガンダムは既に教養である、と誰かが言った。  ガンダムの名を冠した作品が数多く作られる現状とその経済効果を考えれば、なるほどその原典は知っておく「べき」古典なのかもしれない。  …とまあ、小難しい議論が百出するのが昨今のアニメだったりガンダムだったりの現状で、とかくその論調は原典賛美と美化に走りがち。『とにかく赤いの作っとけ!』的な商品もちらほら見られ、少し素直に楽しむには窮屈になってきた。  だが、それを逆手に取るがごとき容赦の無いパロディで群を抜くのがこの作者、トニーたけざきだ。既に表紙から『本の名前を思い出せない人間が口走る言葉』をタイトルに持ってくるなど、ひねりと遊びが炸裂している。  また、絵の上手さも折紙付き。その鬼気迫るタッチはキャラクターデザインを担当し『ガンダムTHE ORIGIN』を連載する安彦良和の絵に書き文字に至るまで似せられており、安彦本人が巻末の寄稿漫画で『どっちがオレの原稿だったかわからなくなる…』とつぶやく完成度だ。  美麗な絵と、アニメを見ていない人でも知っているような名台詞、名シーンを駆使した、素直に笑い転げられるガンダム漫画としてオススメしたい。(M)

 ◇ トニーたけざきガンダム漫画 トニーたけざき 角川書店



ミスターブラフマン 1 (近代麻雀コミックス)

ミスターブラフマン 1 (近代麻雀コミックス)

ほうぼうの雀荘フラリと現れてはバイマンで卓のメンツを恐怖のどん底に陥れる『殺し屋』の正体は、シャイでお茶目な少女漫画家AQUILLAこと氷室アキラ。主人公の見た目と独白のギャップに悶え笑い間違いなしのコミカル麻雀漫画。(M)

 ◇ ミスターブラフマン(1) 作画/張慶ニ郎 原作/浜田正則 竹書房



傭兵ピエール 1 (ヤングジャンプコミックス)

傭兵ピエール 1 (ヤングジャンプコミックス)

佐藤賢一の同名の小説を漫画化。アンジューの一角獣と呼ばれる傭兵隊のシェフ(長)ピエールは、雇われたフランスの陣営で救世主としてあがめられる『ラ・ピュセル』に出会う。それは雪の日に彼が襲撃し、そして見逃した乙女ジャンヌだった。(M)

 ◇ 傭兵ピエール(1) 作画/野口賢 原作/佐藤賢一 集英社



緑の王 VERDANT LORD(1) (マガジンZ KC)

緑の王 VERDANT LORD(1) (マガジンZ KC)

植物異常大繁殖で各地が「緑没」した世界。事故によって瀕死の重傷を負った相馬真は謎の注射で一命を取り留めるが、その代償として外見に恐るべき変化が現れ…。挿入されているDR.モローの投げやりに気合の入ったパロディ漫画がお得感倍増。(M)

 ◇ 緑の王 VERDANT LORD(1)/漫画/曽我篤士 原作/たかしげ宙 講談社



鈍器降臨 (ダ・ヴィンチブックス)

鈍器降臨 (ダ・ヴィンチブックス)

ダヴィンチ誌上で行われた読者の投稿エッセイ+古屋兎丸の漫画を単行本化。イラストの達者さもさることながら、その元ネタとなる時にコミカル、時に辛辣なエッセイそのものにもドキリとさせられる。古屋兎丸による読者インタビューも収録。(M)

 ◇ 鈍器降臨 古屋兎丸 メディアファクトリー



文具天国 (てんとう虫コミックス〔スペシャル〕)

文具天国 (てんとう虫コミックス〔スペシャル〕)

小学生のたかし君の文房具、おもに鉛筆を中心に、新入りをいじめる、シャーペンに地位を奪われるといった文具の日々がドラマチックに描かれる。文房具は大事にしないといけないなと思う一方で、逆に顔を描き入れたくなってもくる。(M)

 ◇ 文具天国 そにしけんじ 小学館



Glaucos(1) (モーニング KC)

Glaucos(1) (モーニング KC)

海で産まれ、イルカに救われた少年シセは、かつての名ダイバー・達人(マスター)・クロードにその驚異的な海との親和能力を見出され日本へ誘われる。クロードの目的は、彼にフリーダイビングの世界記録である深度90mを破らせることにあった。(M)

 ◇ Glaucos(1) たなか亜希夫 講談社



ポンズ百景(1) (モーニング KC)

ポンズ百景(1) (モーニング KC)

関西なまりで歴史上の人物が、学校の同級生が、恋人が、おかんが、おばはんがひたすらに妄想し、ボケてツッコむ短編集。「一気に痩せたくておかんが腹筋運動ベルト10個一気買い」など、小市民ぶりに共感できる漫画が多くつい笑ってしまう。(M)

 ◇ Pon's Hyakkei(1) ぽん竜太 講談社


とわにみるゆめ。 三浦靖冬

青年ギイチが助けた少女型のロボット「とわ」は、男として生きることを定められた少女ミクニ卵子を保管する役目を負う、ただ一体の生き残りだった。郷愁を誘う美しい絵柄で人形と人間の交流を描く感傷的な作品。内容はやや成人向け。(M)

 ◇ とわにみるゆめ。 三浦 靖冬 ワニマガジン社