Vol. 5-Bootleg Series: Bob Dylan Live 1975

Vol. 5-Bootleg Series: Bob Dylan Live 1975

自分の血を見た時に分かる、痛みと生の実感
 最近“ガツン”と来るロックに恵まれず、衰えを意識し始めていた時のボブ・ディランの登場である。いや〜、久しぶりにテンパッた。ヒリついた。鬼気迫る迫力に。並み居るロックアーティストがヤンキーレベルだとすれば、ディランは間違いなく広域指定暴力団。一度、足を踏み入れると、おいそれと抜け出せない“ヤバさ”と“中毒性”、そして対照的な“素晴らしさ”と“美しさ”も合わせ持つ。  本作は'75年、彼が34歳の時に全米をサーキットした伝説のライブを収録する記念碑的な作品。「ショービジネス化したロックに反発し、アメリカの再発見と60年代の理想の実現を目指したツアー」とライナーノーツにはあるが、2002年現在では、その意義よりも純粋にロックの完成度の方がリアルに映る。前述した対照的な世界が、完全なまでに集約されているのだ。一例を挙げると現実と未来、喜びと哀しみ、戦争と平和、生と死など。まるでカントの“魂の弁証法”のように、両方が紙一重のバランスで深く刻まれている。もちろんそれは、自身の経験の裏打ちであり、だからこその説得力を持つことは言うまでもない。“二極論”というロックの到達点もあり、原点、そして人生哲学が本作で帰結したのだ。  エッ、“ガツン”が欲しい。でも聴くなら御覚悟を!(W)

 ◇ THE ROLLING THUNDER REVUE BOB DYLAN Sony



Riot Act

Riot Act

混迷する世界に不退転の決意で闘うことを意思表示したパール・ジャム2年半ぶりの7th。内容的には前作「バイノーラル」の延長線上に位置しながらも、よりへヴィ&シャープな音でさらなる武装を果たした。彼らには微塵の迷いも存在しない。(W)

 ◇ RIOT ACT PEARL JAM Sony



RUDE BONES (CCCD)

RUDE BONES (CCCD)

ノドの奥から絞り出したようなシブイ声で歌うのは、軽快なリズムを刻むメロディアスなスカコア。とはいっても、パンク寄りの曲あり、ポップチューンあり、レゲエありと、幅広いサウンドを聴かせてくれる。スカダンスをキメて一緒に歌うべし・JA)

 ◇ RUDE BONES RUDE BONES cutting edge



MEG & LiON

MEG & LiON

1stからわずか半年で完成させた、躍進の2ndアルバム。うねるような力強いロックや、スケール感のある情熱的なバラードにのせて、沸き上がる想いを全身で歌い上げる。それは歌の端々からにじみ出てきて、聴く者の心まで熱くさせていく。(A)

 ◇ メグライオン  天野月子,戸倉弘智 PONY CANYON



ひとりごとみたいにアイシテタ

ひとりごとみたいにアイシテタ

エゴラッピンやオレペコのブレイク。ジャズが今までと違った形で受け入れられ始めた。その次の大物になりそうな(と勝手に決めた)のが彼女。ギター一本弾き語りな曲もかっこいい。岡山出身という、やや地元なとこにも親近感アリ。(S)

 ◇ ひとりごとみたいにアイシテタ dorlis  インディペンデントレーベル



この世界に生きて

この世界に生きて

たまに入る裏声がスパイスになった、少し舌っ足らずで口からこぼれ出たような歌声。その声とヒネリの効いたメロディをいかし、スタイリッシュなロック、バラード、昭和歌謡と様々なジャンルで自分の世界に引き込む。プロデューサーは寺岡呼人。(A)

 ◇ この世界に生きて 矢野真紀 東芝EMI



Corporate America

Corporate America

宇宙をモチーフにしたジャケ写を見て、ピンと来た方はかなりの洋楽オールドファン。まさかのボストン、8年ぶりの復活だ。もちろん、相変わらずギターは爽快、ヴォーカルはノスタルジックという“'80年代ポップ&ロック”なのでご安心を!(W)

 ◇ Corporate America BOSTON Epic Records International



Sounds Of Snow (初回限定盤)

Sounds Of Snow (初回限定盤)

10月の高松ライブで笑いと感動のステージを見せた彼らのニューアルバム。全曲ウィンター仕様で、「This Christmas」のカヴァーをはじめクリスマスソングも多数収録している。雪の舞い散る情景をイメージさせる、この時期にぴったりの1枚。(K)

 ◇ Sounds Of Snow Skoop On Somebody  ソニーレコード



Baby Step

Baby Step

無垢でキュートな声で歌うポップ、アンニュイな大人の女のムードを漂わせるジャズと、クルクルと表情を変える楽曲はインパクト大。ピアノもベースもドラムも命を持ったかのように、声と同じくらい生き生きと響いてくる。期待の新人、発見。(A)

 ◇ Baby Step anoa(アノア)  インディペンデントレーベル