彼女はいつもおなかをすかせている

彼女はいつもおなかをすかせている

女性限定、食いしん坊のススメ
 いつだったか「恋愛と食事は切っても切れない関係にある」なんて聞いたことがある。  恋をすると食事も喉を通らない、相手をデートに誘う言葉は“一緒に食事でもどうですか?”  男性の多くは恋人に手料理をリクエストする。なるほど、恋愛は様々に食事と密接している。そう考えるとこの本、ある意味では恋愛小説の究極の形かもしれない。  自由奔放な女・ナナ。彼女は人妻だが、料理上手な二人の男と浮気している。彼らの家を訪れるたびに、おいしい料理と不倫関係を味わうナナ。が、二人の男は同じアパートに住んでいた。間もなく二人は、ナナをめぐって戦い始めるが…。ナナは美味しそうによく食べる。そしてその姿はとてつもなくセクシーでもあった。二人の男はこの姿にメロメロなのだ。奇妙な三角関係。加えて魅力的なのは、ナナを独占しようと腕を振るう男達の料理(レシピ付き)だ。その描写のうまさと言ったら、読んだだけで唾が沸くほど。そして美味しそうな料理の数々は、なぜか彼らの恋物語をもウットリするくらい素敵にしている。そう、恋愛は食事を、食事は恋愛をより良いものに発展させる。まさにカップルのごとく、二つの要素は互いに影響を与え、ある共通点を高めあうのだ。言うまでもなく「美味しく味わう」という人生の至福を。(F)

 ◇ 彼女はいつもおなかをすかせている アンドレアス・スタイコス ソニー・マガジンズ



アメリ」で大金を生んだフィルム買い付け担当・叶井氏によるビジネス書。一応、おざなりなビジネス格言がのってはいるが、ズバリこれは彼のでたらめ半生記だ。裏人気のコラムニストが、とうとうメジャーデビューしちゃった。(S)

 ◇ ビッグヒットは五感でつかめ! 叶井俊太郎 主婦の友社



贈る物語 WONDER

贈る物語 WONDER

現代を代表するSF作家・瀬名秀明が読んだ「驚き、切なさを覚え、あるいは怖ろしさに震え上がった」不思議な物語を編纂した作品集。彼のルーツを探るヒントとして読む…だけじゃもったいない。純粋に、一級の短編集としても楽しんでみて。(F)

 ◇ 贈る物語 Wonder 瀬名秀明 光文社



なみだがぴちょん

なみだがぴちょん

「も〜ど〜にでもして〜」のメロディと共に、エアコンCMでおなじみのキャラ“ぴちょんくん”が絵本になって登場。予想通りの癒し系、だけど憎めないその顔に、ついついホンワカした気持ちにさせられる。ちなみに彼は水滴なんだそうです。(F)

 ◇ なみだがぴちょん いとうゆみこ 集英社



大切なことば、いらない日本語

大切なことば、いらない日本語

研究したり見直したりと、いまだ続く「日本語」を扱った書籍ブーム。こちらは中でも辛口、そして考察が深い。自身が感じた日本語への疑問をオブラートに包むことなく展開。果ては日本人の在り方まで書ききってしまう。かなり読み応えあり。(F)

 ◇ 大切なことば、いらない日本語 鷲見徹也ポプラ社



闘魂レシピ

闘魂レシピ

「料理はアレンジするな!」と語るアントニオ猪木直伝、シンプルで元気になる究極レシピ集。大好きだった祖父の塩むすび、ブラジルで覚えたオムレツ、アメリカ修業時代のスペアリブなど、思い出の味を当時のエピソードを交えながら紹介する。(F)

 ◇ 闘魂レシピ アントニオ猪木 飛鳥新社



太陽がイッパイいっぱい

太陽がイッパイいっぱい

注目の新鋭作家による、汗と恋と喧嘩が山盛りの濃ゆ〜い青春小説。タイトルからしてかなりキテるが、関西弁を駆使した文体はさらに熱い。登場人物があんまりにもイキイキしていて、読み終わったとたん、なんだか大きな声で笑いたくなった。(F)

 ◇ 太陽がイッパイいっぱい 三羽省吾 新潮社



さびしいまる、くるしいまる。

さびしいまる、くるしいまる。

自他共に認める「ショッピングの女王」が次に選んだ場所、ホストクラブ。一晩に100万単位で男に金を貢ぐ日々は、ヒリヒリするような自己嫌悪と苦悩の始まりでもあった。こんなにも赤裸々で、しかも真摯な姿勢で書かれたエッセイは久々。(F)

 ◇ さびしいまる、くるしいまる。 中村うさぎ 角川書店



名建築に泊まる

名建築に泊まる

週刊新潮」の好評連載を単行本化。筆者が泊まり歩いた、和洋問わない日本全国の宿泊施設を写真とエッセイで綴る。読んで分かったのは、ただ滞在できるだけの施設は宿ではないことと、建物が魅力的な宿はそこで働く人達も同様だということ。(F)

 ◇ 名建築に泊まる 稲葉なおと 新潮社