Tripmeter

Tripmeter

迷って焦って叫んで泣きじゃくった後には
 なんでも“癒し”にしてしまいがちな現在。音楽もその傾向で、ボサ・ノバとかジャズとか、ゆったり聴きやすいモノが好まれている。確かに癒されるし好きだけど、“癒し”とか言ってる場合じゃない時もある。そんなギリギリの状態の時、“癒し”とは正反対のバンドの1stに出逢った。  夜道、ひとりで歩いている。背後に気配。振り向くのが怖くて歩調を早めたくなる。まるでその時の焦りや恐怖が迫ってくるようなナンバーからアルバムはスタート。ヴォーカル・PYONは、歌うとその愛らしい風貌から考えられないほど激しく豹変する。腹の底から、体の一部をえぐり取って出されるような声。寂しさを込めたつぶやきと、これ以上ないほど切なく裏返る高音。息継ぎも満足にできないくらい、感情は前へ前へ。押し潰されそうな、切羽詰まった彼女の想いが伝染する。ざわつく心。  彼女の歌に重ねるのはうまくいかない自分の恋愛かもしれないし、毎日の中で訪れる訳のわからない不安かもしれない。聴いても解決策とか全然見えてこないけど、答えなんてなくてもいい。ぐちゃぐちゃに掻き乱されていっぱいいっぱい悩んで迷って泣きじゃくって、その後でふとクリアな自分に戻れる気がした。(A)

 ◇ Tripmeter The Tripmeter Dreamusic



Definitive Collection

Definitive Collection

聴くと全身が温かさと力強さに包まれる、スティーヴィー・ワンダーの2枚組ベスト。“愛”という気恥ずかしい言葉でも、彼から発せられると違和感なく素直に受け入れてしまう。しかし、アンチテーゼとしてすべての哀しみを請け負った魂の人。(W)

 ◇ The Definitive Collection Stevie Wonder ユニバーサル ミュージック



It Had to Be You: The Great American Songbook

It Had to Be You: The Great American Songbook

20世紀初頭のアメリカの名曲を、スパースターのロッド様がカヴァー。しっとりしてます。アダルトです。はまり過ぎてます。でも、ロッドはイギリス出身だったような…。他人の曲を、その人以上に情感豊かに表現する天才ヴォーカリスト。(W)

 ◇ IT HAD TO BE YOU...THE GREAT AMERICAN SONGBOOK ROD STEWART BMG



プールサイダー

プールサイダー

ギャグみたいなバンド名だが、1曲の中でコロコロと表情を変えるひねくれロックサウンドは侮れない。5曲とも、1つとして似通った曲はナシ。意味ありげな歌詞やヘンテコメロディ、ズッコケリズムは、かのユニコーンを思い起こさせます。(A)

 ◇ プールサイダー エレキバンドオコノミヤキ ロッキーレコード



しののめ

しののめ

たっぷりの息を含ませた存在感のある低音ヴォイスが、静かな昭和歌謡やボサノバ、ジャズなどにのって少しの陰りを帯びて響いてくる。浮かび上がるのは、しとしと小雨が降る色あせた風景。純喫茶のBGMにしたい扇谷一穂の1stミニアルバム。(A)

 ◇ しののめ 扇谷一穂 MIDI



愛のポルターガイスト

愛のポルターガイスト

バックはムーディーでシブイ正統派ジャズサウンド。そこに、ネバネバしたり裏返ったり唸ったりちょっと猫なで声になったり素っ頓狂になったりと、小島テイスト満開のヴォーカルがトッピングされる。強烈なクセはあるけど、クセになる1枚。(A)

 ◇ 愛のポルターガイスト 小島麻由美 PONY CANYON



THE ORIGINAL RHYMES RUN DMC BMG

デビューから20年、ヒップホップとロックの壁を最初に打ち破ったRUN DMCのベスト。象徴的なエアロスミスの「WALK THIS WAY」をはじめ、全20曲が収録されている。先日、急逝したメンバーのジャム・マスター・ジェイに合唱。(W)

 ◇ THE ORIGINAL RHYMES RUN DMC BMG



Run魂Run

Run魂Run

なにコレ!」的な、ありえないムチャな歌詞と意外にロックしてるサウンド。劇団「大人計画」の宮藤官九郎率いるユニットの1stは、音楽界に波紋を呼びそうなエンドレス“笑”の快作。まさか映画「GO」の脚本家と同一人物とは思えません。(A)

 ◇ Run魂Run グループ魂 MIDI



八紘一宇 (CCCD)

八紘一宇 (CCCD)

現代社会に疑問を投げかける政治的メッセージを込めて歌う、パワフルなガールズパンク。リリースごとに彼女らの主張はより強くなり、叙情的なハーモニーとストレートな歌詞が胸に突き刺さってくる。ただ“楽しい”で終わらせない音楽も必要。(A)

 ◇ 八紘一宇 SOFTBALL cutting edge