雑多なアルファベット

雑多なアルファベット

本当に「枠に捕らわれない」ために
 最近よく目にする「自分探し」という言葉。「自分探し」の旅に出るとかいう人の話も聞く(何故か世界を放浪するという話ばかり)。そこに共通する「枠に捕らわれるな」という言葉。学校や会社など「自分探し」は「枠」が邪魔だという考えだ。揃って同じことを言ってるけど、それこそ「枠」に捕らわれてる気が…。と思いながらもイマイチ確信がなかった自分に、この本は強烈な一発をくれた。  なんと本作は、AからZまでのアルファベット一つ一つに付いて書かれた短い文章と、線画だけで成り立っている。『E』についての文章なら“There is an Eye,Up in thesky.”(地に人あり、空に目あり)という具合。しかもEyeとskyのように、全26種類とも末尾の単語は見事に韻を踏んでいる。シンプルだからこそ想像をかき立てられ、韻を踏むことで文章をキリッと引き締めるこの手腕。筆者のゴーリーはごくごく短い文章と、モノクロームの線画のみ使った作品で有名だ。それは何でも自由に扱える表現の世界で「枠」を取り払うどころか、あえて「枠」を作るスタイル。さらに本作ではアルファベットという「枠」をも用い、自分をのびのびと表現している。「枠に捕らわれない」のは大事。でも「捕らわれない」という「枠」も、確かに存在するのだ。(F)

 ◇ 雑多なアルファベット エドワード・ゴーリー 訳・柴田元幸河出書房新社



ドクターカー緊急出動―救急医療の最前線で活躍する医師と救急救命士

ドクターカー緊急出動―救急医療の最前線で活躍する医師と救急救命士

救急救命士だけでなく、医師も同乗しているドクターカー(高規格救急車)の活躍を描く白熱のドラマ。フィクションながら筆者は現役の医師だけあって、手に汗握る臨場感と交錯する人間関係のリアルさがハンパじゃない。まさに日本版「ER」。(F)

 ◇ ドクターカー緊急出動 箕輪良行 小学館



四月ばーか

四月ばーか

ベストセラーとなった「天国の本屋」のコンビが贈る最新作。なんともストレートなタイトルには笑ってしまったが、箱を開ければ一変、絶妙のせつなさが心地いいラブストーリーが展開していく。いつまでも大人になりきれないすべての大人に。(F)

 ◇ 四月ばーか 松久淳、田中渉 講談社



消費者金融―誰もが驚く裏オモテ

消費者金融―誰もが驚く裏オモテ

借りたことのない人も借りる気がない人も、とりあえず知っておきたいキャッシングの常識。その仕組みや矛盾を分かりやすく解説していく。全体的にやや辛口トークだが、お金ほど簡単に人を幸せにする物はないし、不幸にするものもない、と納得。(F)

 ◇ 消費者金融裏オモテ 井上トシユキ 文藝春秋



150cmライフ。

150cmライフ。

満員電車で溺れかけ、7分丈のシャツを着ると長袖になり、踏み台なしでは生きていけない人生がある。身長150cmのイラストレーターが綴る自らの体験談。「大変そうだ」なんて同情しながらも、そのラブリーさに思わず微笑んじゃいます。(F)

 ◇ 150cmライフ。 たかぎなおこ メディアファクトリー



放浪記

放浪記

DASH村」の管理人“清くん”こと清準一郎が、原付で日本一周の旅に出た。自然、街、様々な人との出会いから生まれたのは混じりけのない澄んだ文章と、雑多な雰囲気を残す写真たち。眺めているだけで、なんだか心が洗われていく気がした。(F)

 ◇ 放浪記 清準一郎 日本テレビ



モルヒネ

モルヒネ

幼い頃に酒乱の父親の暴力によって姉を亡くし、23年経った今もその事実を引きずっている真紀。姉の元へ行くため=自らを死に追いやるために医学を学び、ホスピスのスタッフととして働く彼女の前に、ふいにかつての恋人・ヒデが現れるが…。(F)

 ◇ モルヒネ 安達千夏 祥伝社



ぷちセキュ宣言!

ぷちセキュ宣言!

何かと物騒なこの世の中、ぷちセキュ(小さなセキュリティー)始めてみませんか?元アナウンサー、現タレントが経験を生かして提唱する初めての“防犯エッセイ”。「防犯って具体的にどうすれば…」なんてぼやいてる人、入門書としてぜひ。(F)

 ◇ ぷちセキュ宣言! 安井まみ子 パロル舎



ギリギリイングリッシュ―TRAVEL

ギリギリイングリッシュ―TRAVEL

「ギリギリ」のタイトル通り「これだけ知ってればOK」という表現だけを紹介。空港なら審査官、レストランならウェイターという具合に「相手」の発言がしっかり載っている。これだけのことなのに、今までにないくらい分かりやすい英会話本。(F)

 ◇ ギリギリイングリッシュ 長谷部潤、草柳麻子 ディスカヴァー