■

Dolls [ドールズ] [DVD]

才能が、原色の中で狂い咲く

　かつて、ベネチア国際映画祭でグランプリを受賞した「HANA-BI」では『キタノブルー』と評された深い青色が散りばめられているのは有名な話。それが、この監督を語る上で1つのエピソードに過ぎないのも分かっている。それでも触れずにはいられない。最新作「Dolls」はブルーでなく、目を見張るような原色で彩られていたから。
　いつか日本の四季を撮りたい、と語っていた監督の言葉通り、今回の美術セットは日本古来の自然美である。狂ったように咲く桜並木、世界の果てを思わせる静かな海、火を噴く火山のような紅葉、死後の世界のごとく輝く雪景色。美しい。でも、美しすぎるのだ。そこから生まれるのは感嘆ではなく、恐怖。あまりにも「完璧」な原色は、見る者に恐怖以外を感じさせる余地を与えない。さらに、その中で展開される物語も今までにない題材だ。自分自身をも失い、互いを赤い紐でつないで彷徨い続ける男女。ただ墜ちていくしかない二人を、カメラは淡々と追ってゆく。『キタノブルー』を使うことでその青に悲しさや寂しさを託し、逆に浮き彫りにした暖かさがそこにはない。普通の人間が見せるのをためらう部分、監督の残酷さだけを切り取っているからだろう。そんなことできるのは、悔しいけど天才だけなのは言うまでもない。（F）

　◇　Dolls［ドールズ］　バンダイビジュアル

---

ロード・トゥ・パーディション <特別編> [DVD]

大恐慌の真っ只中にある1931年のアメリカで、殺し屋マイケルは父親のような存在のルーニーの片腕として働いていた。だが12歳の長男が、ある殺しの現場を目撃してしまい…。トム・ハンクス、ポール・ニューマンなど豪華キャストの共演に注目。

　◇　ロード・トゥ・パーディション　20世紀フォックス ホームエンターテイメント

---

プロフェシー デラックス・コレクターズ・エディション (2枚組) [DVD]

60年代のアメリカで実際に起きた超常現象を描くサイコ・ホラー。主演はリチャード・ギア、監督にはU2など一流ミュージシャンのミュージックビデオを手掛け、「隣人は静かに笑う」で日本でもカルト的人気を得たマーク・ペリントンを迎える。

　◇　プロフェシー　ソニー・ピクチヤーズ エンタテインメント

---

ラガーン [DVD]

1893年、イギリス植民地時代のインド。農村チャンパニールでは、雨季になっても雨が降らない殺人的な天候が続いていた。そんな中、イギリス領事が「クリケットの試合に勝てば、今後3年間は無税。だが負ければ3倍の税金を課す」と言い出すが…。

　◇　ラガーン　ソニー・ピクチヤーズ エンタテインメント

---

マイ・ラブリー・フィアンセ [DVD]

舞台は12世紀の英国。フランス貴族のティボールト伯爵と英国王の娘・ロザリンドの婚礼が行われていた。だが敵対する伯爵の陰謀で、ティボールトは謝ってロザリンドを刺し殺してしまう…。「レオン」のジャン・レノ主演によるラブ・ストーリー。

　◇　マイ・ラブリー・フィアンセ　ソニー・ピクチヤーズ エンタテインメント

---

ジョンQ-最後の決断- [DVD]

全米初登場1位を記録しただけでなく、各マスコミや著名人からの大絶賛を受けた感動のドラマ。ある日突然に心臓病を患い、昏睡状態に陥ってしまった最愛の息子。その命を救うべく奔走する父親をオスカー俳優、デンゼル・ワシントンが熱演する。

　◇　ジョンQ 最後の決断　パイオニアLDC

---

明日があるさ THE MOVIE [DVD]

CMやドラマ、そしてテーマソングが大ヒット、社会現象を巻き起こした「明日があるさ」が映画になって登場。宇宙開発に進出した『トアール・コーポレーション』を背景に、ダウンタウンをはじめ、すっかりおなじみの吉本興業の面々が総出演する。

　◇　明日があるさ THE MOVIE　バップ

---

凶気の桜 [DVD]

映画賞を総ナメにした「GO」の撮影中、出会った原作に感動した窪塚洋介が自ら映画会社に持ち込み、初めて企画段階から製作に参加した意欲作。ヒロインにはCMやモデルとして活躍する高橋マリ子が扮し、原田芳雄、江口洋介など個性派が脇を固める。

　◇　凶気の桜　東映

---

バースデイ・ガール [DVD]

真面目な銀行員ジョンは、ネットを通じてロシア人の花嫁を「注文」し、美しい女性・ナディア（ニコール・キッドマン）を手に入れる。彼女には英語が全く通じなかったものの、誘われるままに肉体関係を持ち、その虜になってしまうジョンだったが…。

　◇　バースデイ・ガール　ジェネオン エンタテインメント　2003-04