お父さんのトラウマをほじくりかえす一冊
 ウルトラQを知らずとも、カネゴン、ガラモンの名前になら聞き覚えはあるかもしれない。石坂浩二がナレーターをつとめ、彼ら怪獣が活躍したウルトラシリーズの原点『ウルトラQ』がテレビで放送されたのは昭和41年。今その作品群をビデオなどで見ることは簡単にできるが、その衝撃はおそらくリアルタイム世代にとうてい及ばないだろう。未知の世界の映像とのファーストコンタクトは、当時のお子さんたちにトラウマに近い多大な衝撃を与えたに違いない。というかさぞ怖かったろう。  そして現在、ケーブルテレビやレンタルビデオの流通に加えて過去の作品、キャラクターをリメイクした商品が次々と発売されている。新しい作品を作り出そうとする意欲を欠いていると非難されることもあるリメイク・原作ものだが、それでも作られるのは原作の魅力あってこそ。  藤原カムイの安心して読める絵柄と新しい解釈が与えられた本書は、原作の不思議さと現代のスマートさが加わった知的冒険にあふれた作品になった。ウルトラ世代も『大人になったなぁ、自分……』と思える一冊だ。掲載されているのは『ペギラがきた!』/『2020年の挑戦』/『地底特急西へ』の3話。記憶と照合しながら読んでみてはいかが?(M)

 ◇ ウルトラQ(1) 藤原カムイ 角川書店



ニッポンの未明 (SPA! comics)

ニッポンの未明 (SPA! comics)

小泉純一郎、セレブ、ハローワーク、心の病…レディスコミックの売れっ子作家さかもと未明が「オンナ」の視点から日本社会の病巣をゴーマニズム方式に、かつエロく斬る! 巻頭にはさかもと未明が全部脱いだ超セクシーグラビア付。(M)

 ◇ ニッポンの未明(1) さかもと未明 扶桑社



武神戯曲 1 (電撃コミックス)

武神戯曲 1 (電撃コミックス)

2002年の東京から、1023年の北京へ。項羽の面を手に時代を越えた少年・辰明が出会う京劇の世界を、舞台の裏表両面から描くという珍しい「京劇漫画」。京劇の演目の解説やおすすめ映画なども紹介されており、パワー溢れる京劇世界が感じられる。(M)

 ◇ 武神戯曲(1) 上田宏 メディアワークス



小学生のみのりは、両親をなくし発明家のおじいちゃんの家で暮らしている。しかし巨大ネコのじょむにー、気は優しくて力持ちなメイドロボのとく子さん、巨乳だけど実は〇〇〇のマコトさんも加わり、寂しさを感じる間もない程家はにぎやかに。(M)

 ◇ みのりの日々 井上博和 少年画報社



ナポレオン 1―獅子の時代 (ヤングキングコミックス)

ナポレオン 1―獅子の時代 (ヤングキングコミックス)

皇帝になったナポレオンとロシア、オーストリア連合軍との合戦を描いた「アウステルリッツ編」と、ナポレオンのブリエンヌ幼年学校から青年期までを収録。悪党にしか見えないようなアクの強い軍人が入り乱れる男密度の高さに注目。(M)

 ◇ ナポレオン 獅子の時代(1) 長谷川哲也 少年画報社



Under the Rose (1) 冬の物語    バースコミックスデラックス

Under the Rose (1) 冬の物語 バースコミックスデラックス

没落貴族である公爵家の娘・グレースが、愛人の伯爵宅で死んだ。公爵家から彼女の息子ライナスとロレンスは伯爵へ引き取られるが、兄ライナスは母の死に疑念を抱く。母を殺したのは誰? 19世紀、英国の貴族社会で繰り広げられるミステリー。(M)

 ◇ アンダーザローズ 冬の物語(1) 船戸明里 幻冬社コミックス



いつもギューッとひっついている、仲良し鳥の十姉妹。のんびりしているようで、その実食べたり遊んだり求愛したりとせわしない彼らの日常を作者が愛にあふれた筆で観察する。4コマ漫画なので、鳥を飼っていなくても気軽に楽しめる一冊。(M)

 ◇ それは十姉妹(じゅうしまつ) たかの宗美 双葉社



阪神ファンによる、阪神ファンのためのコミックアンソロジー。執筆陣にはしりあがり寿ほりのぶゆき田中圭一など妙に濃い層が揃い、喜びながらもどこかで「この優勝は本当か」と疑っているという屈折したファン心理をのぞかせている。(M)

 ◇ 虎漫(トラマン) 大都社



付き合い始めてはや4年、そして私は26。メシをたかる、物は返さない、飽きっぽいというイイトコなしの彼氏の傍若無人なふるまいの数々を作者がギャグ4コマに。決して達者とは言えない絵が恋人関係の荒廃をさらに寒々しく物語る。(M)

 ◇ しあわせ泥棒(1) 桜木さゆみ 芳文社